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国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2026」の開幕初日となる2026年7月1日(水)、ロームシアター京都 サウスホールにて、特設プログラム「CROSS TIDE(クロスタイド)」が開催されます。
本プログラムは、日本の新産業創造に向けて「スタートアップと大企業・CVC(企業内ベンチャーキャピタル)の理想的な向き合い方」を深く掘り下げるセッションと、ネットワーキング(交流会)を中心とした本年度が初回となる新規イベントです。
なぜ今、大企業とスタートアップの「関係性」に深く踏み込む議論が必要なのか?
イベントの仕掛け人であるお二人に、その真意を伺いました。
―岡本彰彦氏(Headline Asia General Partner)
銀行でフィンテック関連の事業開発に従事した後、ベンチャーキャピタルを経てスポーツベッティング領域のスタートアップを創業。その後、Recruit Holdingsで海外スタートアップ投資、新規事業開発、AI研究所の管轄を担当し、約10年にわたりグローバルスタートアップ投資に携わる。続いてグローバル・フィンテック投資を行うMUIPの立ち上げに参画し、投資責任者を務めた後、Headlineに参画。
―石井達也氏(CVC vs CVC Organizer)
2010年にCCCカルチュア・コンビニエンス・クラブへ入社。2016~2017年頃よりCCCMKでオープンイノベーション推進のプロジェクトマネージャーとして活動し、2023年に東芝テックへ転職。現在はCVC室パートナーとして、CVC運営の実行責任者を務めている。
誰もが参加できる「開かれた場」へ
―まずは、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」について教えてください
岡本氏IVSは日本最大級のスタートアップカンファレンスであり、2007年に始まりました。当初は約100名規模の、大企業の経営者層やスタートアップ経営者、ベンチャーキャピタルのパートナーなどが参加する完全招待制のクローズドなネットワーキングイベントでした。コアなネットワーキングの中で、次なる成長や新しい産業の創出などを話し合う場として続けてきましたが、あらためて振り返った時、日本のスタートアップエコシステム全体はそこまで大きくなっていなかった。
「もっと広げて、誰でもスタートアップエコシステムに参加ができる環境っていうのが必要じゃないか」という議論があって2023年からは、大学生や企業の社員を含め、誰でも参加できるオープンプラットフォームへと転換しました。これは、スタートアップエコシステムを拡大し、日本におけるオープンイノベーションの芽をより広げていくためであり、より多くの人にこのエコシステムへ参加してほしいという思いに基づいています。
石井氏ここ数年、圧倒的にCVCが増えてきた印象はあります。スタートアップエコシステム全体の中で、CVCの存在感だったり、プレゼンスも変わってきたのではないでしょうか。IVSもそうですし、いろんな同調しながら価値を作っていく機会は、めちゃくちゃ増えたと思います。
―今回、CVCに特化した集中イベント(CROSS TIDE)を開催しようと思ったのはなぜですか
岡本氏日本では、「人材・資金・事業資産」は大企業に集中しています。
だからこそ、そのアセットを持つ大企業とスタートアップを融合させることが、日本におけるイノベーション創出の大きな打ち手になると考えています。
これまではあまり大企業やCVCに特化した大きなイベント的なものをIVSのセッションでは取り上げてきませんでした。ただ、政府から発表された「スタートアップ5か年計画」と「重点投資対象17分野」を見てみると、大企業が担っている部分が多い。日本がイノベーションを生み出していくためには、大企業が持つアセットをより流動化させ、スタートアップと結びつけていく。その場所を作る必要があるのではないかと考えています。

―企業として、スタートアップ投資に関わるようになったのは、いつからですか
石井氏スタートアップとの出会いがあったというよりも、会社そのものを見直す中で、かなりクリティカルなきっかけがありました。当時所属していたCCCマーケティングは、会員基盤が5,000万人規模あり、10年かけて構築した非常に強いアセットを持っていました。その基盤を軸に様々なビジネスを展開していた訳ですが2016年に『Pokémon GO』が登場し、「12〜13日で5,000万ユーザーを獲得した」というリリースが出たんです。そのときに、「あれ?...」と。
DX×コンテンツのような領域では、これまで10年かけて作ってきたような会員基盤が、わずか十数日で立ち上がってしまう。それくらい早いスピード感で世の中が変化している中で、今のやり方を続けているだけでは会社が立ち行かなくなるかもしれない、という危機感からいろいろと調べる中でオープンイノベーションの重要性を知り、VS・スタートアップの皆さんに声をかけて議論を重ねていった、というのがきっかけです。
―CVC同士の交流イベント(CVC vs CVC)を始めた背景をおしえてください
石井氏いろいろなCVCの方々とお話しする中で、課題感はかなり共通していると感じています。
「マイノリティ出資をなぜやるのか」といった問いや、「ダイナミックな取り組みをするなら、それは経営企画の領域ではないか」といった指摘など、板挟みになりながらも、「会社の未来を作りたい」と孤独に戦っている仲間がいっぱいいます。
ただ、課題を共有するだけで傷を舐め合っているだけでは何も変わりません。同じ痛みを知る仲間が集まり、ノウハウやリアルな情報を共有し合えば、業界全体がもっとアップデートされるはず。そんな思いから、CVC同士が本音でぶつかり合える活動を始めました。

イノベーションはいつも「よそ者・若者・馬鹿者」が起こす
岡本氏IVSを始め、カンファレンスの最大の価値は「ネットワーキング」にあります。例えば、既に知っている相手であっても、改めて1時間のミーティングを設定するには理由が必要ですよね。しかし会場では、偶然・必然を問わず、「少し10分話そうか」といった自然な会話が生まれます。この10分が、その後の大きなビジネスにつながっていく事があるんです。
そして、もっと重要な価値は、普段であれば絶対に接点を持たない人たちとネットワーキングできる点です。イノベーションはいつの時代も、「よそ者」「若者」、そして自分たちの想像を超えることをやる「馬鹿者」が起こしてきました。そういった既存の価値観の外側にいる人たちと出会えることに大きな意味があります。
クローズドだったIVSをオープン化し、スタートアップエコシステムを拡大した理由も同じです。
裾野を広げて誰でもスタートアップの思想に触れられるようにすれば、日本にオープンイノベーションの芽は増えていく。そのためにも、より多くの外部に参加してもらうことが重要だと考えています。
―日本全体でイノベーションを起こすためには、何が必要でしょうか
岡本氏日本の場合は、例えばアメリカやヨーロッパと比べると、大企業への人材や資本の集積規模が非常に大きく、ほとんどのアセットが大企業に集中する傾向があります。
また、同調圧力が強い背景もあり、スタートアップに投資し、それを自社の成長の外部エンジンとして活用するという発想が、これまで生まれにくかったのではないかと考えています。
今回CVCをテーマにしたイベントを開催した一番の理由は、大企業が持つ人材・資金・事業資産といったアセットをより流動化させ、スタートアップと融合させることこそが、日本において最も大きなイノベーションを生み出す打ち手だと考えたためです。
日本には今もなお、大企業に優秀な人材や資本、事業資産が多く眠っています。
もちろん各企業にはそれぞれの戦略目標がありますが、その達成のためにもイノベーションを起こし、日本経済を再成長させていくという観点では、こうしたアセットをより積極的に活用し、新しい産業を自ら生み出していく必要があると考えています。
石井氏私は、8年ほど事業会社の中でCVCに携わってきました。もちろん、今の会社がCVCとして何かを生み出していくことには意味があると思っていますが、一方で、1社だけでできることには限界があるとも感じています。新しい産業の創出や日本全体を主語にしたときに、1つのCVCだけではなく、複数のCVCと複数のスタートアップが組み合わさりながら価値を生み出していくような世界にならない限り、大きなイノベーションは起こりにくいのではないかと考えており、CVC同士が繋がる事が大きな価値になると考えております。

CVCはどうあるべきか?
―岡本さんはVCとCVC、両方の立場を経験されていますが、違いをどう捉えていますか
岡本氏CVCには、経営戦略の延長線上でいくつかの役割があると思っています。一つは、意思決定に必要な重要情報を外部から取得する役割。もう一つは、マイノリティ出資を起点にさまざまな事業連携や道筋を作る役割です。そして将来的にはM&Aなどの意思決定につながるきっかけにもなり得ます。
つまり、CVC単体で全てを動かすというよりも、経営や事業部の意思決定を動かすための「きっかけを生み出すファンクション」だと考えています。
私が過去CVCで、一番最初に取り組んだのは、「投資しなくてもいいものには投資しない」ということを経営陣に理解してもらうことでした。
一方で、純投資VCは必ずしも事業戦略に紐づくものではなく、産業構造の転換を促し、より抽象的には急成長する産業・イノベーション・プロダクト・サービスそのものに投資を行います。
特定の企業戦略に紐づくというよりも、新しい産業を興したり、既存産業を新しい形に入れ替えたりといった、産業全体の新陳代謝を担う存在だと考えています。つまりVCは、特定企業の戦略実現のためではなく、国や世界における産業構造そのものの転換を促す装置である、という捉え方をしています。
― CVCの課題とはなんでしょう
石井氏CVCは、良くも悪くも一つの「一部門」としてしか扱われていないケースが多いと感じています。そうすると、経営からは新しい領域での新規事業創出を求められる一方で、事業部からは既存事業をどう強くするかを求められ、その板挟みになりやすい。
しかし本来CVCは、「経営戦略の中でどの手法をどう組み合わせていくかを設計するための機能」だと捉えた方が分かりやすい。僕自身は、CVCのマイノリティ出資はかなりプレPMI(M&Aの前段)に近いものだと考えていて、将来のM&Aを見据えた入口として実行しています。単なる協業にとどまらず、資本を伴った関係性をつくることで社内を動かしやすくし、協業を通じて事業部の理解を得て、結果としてM&Aにつなげていくという位置づけです。
大企業側は事業が分散しているため、その中の一部を強くしていく構造にならざるを得ません。
だからこそ、どの領域で勝負するのか、どこは外部と組むのかを明確に切り分けて考える必要があると感じています。
CVCの課題ですが、多くのケースで一度決めた方針に固執し続けてしまう傾向があると感じています。本来、新規事業やスタートアップ投資の領域には明確な正解があるわけではなく、現状のように一つの最適解に収斂していきません。実際に試行してみた上で、ポートフォリオやスキームなど様々な要素の中から「このやり方は違う」と判断した際に、柔軟に方向転換できるCVCがまだ少ない点は課題だと考えています。
岡本氏よく「トップが変わらない」と言われることが多いと思いますが、私はすべての変革は「ボトムアップ(現場)」から起きると思っています。そのため、一定の時間はかかるかもしれませんが、それがIVSのオープン化の大きな意義の一つでもあります。
これまでそのような場に参加できなかった大企業の若手社員が実際に一つの場に集まり、外部の人々と触れ合うことで、日常の環境や認識そのものが変わっていくことが重要だと考えています。
また、エコシステムとはまさにそうしたものであり、多産多死を前提に多くの挑戦が生まれ、その中から環境に適応したものが残っていく構造だと思います。
日本には優秀な人材も資本も事業資産もあります。CVCには、その資産を動かすトレイルブレイザーになってほしい。そして、日本の次の産業をつくる役割を担ってほしいと思っています。

CROSS TIDE の概要
2026年7月1日(水曜日)
セッション&ブース:13時30分〜18時
ネットワーキングパーティー:18時30分〜20時30分
企画・制作:Headline Asia、4S株式会社
共催:CVC vs CVC
協賛:FINCHI、博報堂、JR西日本、NANKAI、パナソニック株式会社、Porsche Ventures、島津製作所、宝ホールディングス
協力:パナソニック株式会社、DEEPCORE
<CROSS TIDE with CVC vs CVC NETWORKING PARTY>
2026年7月1日 18時30分開始予定 20時30分までを予定
場所:京都モダンテラス(IVS会場ロームシアター京都内)
※本イベントは完全招待制です。また参加を希望される方はウェイティングリストに登録し、承認された場合参加できるものです。
ネットワーキングパーティー専用参加申込サイト:https://4s.link/ja/crosstide202607kyoto